『マッドマックス2』 ジョージ・ミラー 1981

無邪気に面白いと言える映画です。
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『2』の原題が『The Road Warrior』だったこともあり、『2』と気づかずにそちらを先に観てしまいました。昨年の映画秘宝オールタイムベストテンで第6位に入っていて、ずっと気になっていたので鑑賞。映画秘宝がいいのは、こんなの好きって言ったら馬鹿にされるんじゃないか…みたいな含羞が一切ないところです。好きなもんは好きなんじゃと開き直っているところがすごくいい。これに対してキネマ旬報はというと反対で、たとえば十年くらい前のオールタイムベストなんかを観ても、これを褒めておけば間違いないだろう、これを褒めておいても誰も文句は言うまい、みたいなのが上位にあるんですよね。まあ、モテるのは間違いなくキネ旬のほうなんですけどね。映画秘宝のオールタイムベストテンははっきり言ってモテません。『狂い咲きサンダーロード』とか『タクシードライバー』とか『時計じかけのオレンジ』とか『ファントム・オブ・パラダイス』とか、基地の外にいっちゃってるやつらの映画ばかりですからね。

 さて、主に『2』のほうについて書きましょう。というのも、1と2にはメル・ギブソン主演というほかにほぼ一切のつながりがなく、1を観ていなくても2を観る上でなんら問題はないのであり、そして2のほうが圧倒的に面白かったからです。1は正直言って特筆すべき映画ではないのですが、2はものすごかった。「マッドマックスは2より1がいいよね」という人は、絶無じゃないでしょうか。『エイリアン2』や『ターミネーター2』、『グレムリン2』、そしてぼく一押しの『SAW2』など、2が1を超える作品は数多いですが、その超え方、超えてる比率でいうと、これは史上最もグレードアップした2と言えましょう。

 後々の映像、漫画作品に影響を与えた、と言われるように、これはいかにも漫画的な作品でした。核戦争後の荒廃した世界で、石油基地でコミューンをつくって暮らしている人々と、その略奪を狙う暴走族の対立があり、そこにメル・ギブソン扮するマックスが絡んでいきます。人々や暴走族の造形はもう本当に漫画的と言うにぴったりです。なんか『北斗の拳』っぽいなあと思ったら案の定、あれはこの映画の影響を受けているようです。敵は本当にわかりやすい悪として描かれているし、かと思えば味方のほうは中世ファンタジーみたいなやつがいたりするし、これまた漫画的な野生児がいるし、ジャイロ乗りのおっさんがいるし、「どういう世界やねん」と突っ込み出せばきりがないんですが、もうそんな突っ込みなんてどうだっていいというわけです。こういうのって面白そう、こういう感じにすると格好よさそう、こういう変化球もアリだよね、というのをどかどか詰め込んでつくられていて、乗れないとあほらしさを感じてしまいそうですが、乗れればもうハイスピードで連れて行ってくれます。

 主演のメル・ギブソンが後に監督する『アポカリプト』もそうだったんですが、クライマックスが沢山あるんです。このサービス精神がいいです。ごちょごちょせずにとにかくアクションを盛り込んでいて、しかもそれが痛快なものになっているから、停滞がありません。これはターボをかけて大成功した例だと思います。下手にごちょごちょ思索ぶりだすと最悪なんです。核戦争後の荒廃した世界ってことでメッセージを込めたり、敵と平和的な解決を目論んだり、主人公が妙に悩んだりしてみせると、この映画はそれだけで一瞬で死んだ恐れがあるんですけど、そういう愚は一切犯さなかった。停滞させるとアラが見える。アラが見えてふと冷静になるとこの映画は大変に危険だったわけですが、ずっとターボをかけていたので文句なしなのです。

 圧巻はやはり後半三十分近くにわたるカーチェイスですが、ここでも1とは比べものにならないレベルアップです。カーチェイスシーンというのはやっぱり映画の醍醐味です。源流はジョン・フォードなどがつくりあげた西部劇にあるわけですが、画面上の盛り上がりを見せる装置として、最も画期的な発明のひとつでしょう。特にこの映画の場合、もう漫画的に開き直って構築された世界ですから、生半可なカーチェイスじゃないんですね。これはねえ、当時の中高生は本当にわくわくどきどきしたと思います。そしてそのときの観客が、後の漫画やゲームをつくる世代になっていたということでしょう。うん、ゲームにも相当影響を与えていると思います。設定とかも80年代のファミコンのそれっぽいんです。 

あまり中身に踏み込んでいませんが、この手の映画は中身を云々するよりも、無邪気に面白さを感じればいいのであり、また感想を書く際もそれでよいのだと思います。いやあ、こいつは面白かったですね。
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by karasmoker | 2009-09-07 02:38 | 洋画 | Comments(1)
Commented by しきび at 2015-08-31 23:37 x
 マッドマックス2を恨んでいます。ですが、ストーリーは好きです。ていうかこの映画はマッドマックス1と同じくらい大好きです。私は片岡義男みたいな乗り物の描写がねっとりとした小説が好きなので、マッドマックスは1の方が好きです。近未来を駆けるV8インターセプターと暴走族たちのバイク。ただ単に見てるだけで満足でかっこいいと思える乗り物たちは1にしかありません。V8も2で壊れちゃうし。ストーリーは絶対に2ですね。それは間違いありません。ですが、世界観と乗り物については極めて個人的な見解で1に軍配が上がります。アクション物でもあるのでどんな車がどんな世界観で活躍するのかはとても重要です。だから私は1のほうが好きです。1の路線で新作を作って欲しい。なんて思っても2、3、4となかなかイカしたMADなマックスになってるので欲求が絶対に達成されないことが悲しいです。そのことがマッドマックス2への恨みになっています。
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