『メリーに首ったけ』 ボビー・ファレリー ピーター・ファレリー 1998

ラブコメの模範
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原題『There's Something About Mary』
恋愛コメディ、ラブコメ、というジャンルで、いちばん好きな作品は何ですかと訊かれれば、三谷幸喜のテレビドラマ『今夜、宇宙の片隅で』と答えます。DVDになっておらず、昨年VHSを中古買いし、観てみたらやっぱりつくづくいいのです。しっかりきっかりつくられているコメディというのは、観ていて気持ちのいいものです。『メリーに首ったけ』もまた、ぼくの「絶品ラブコメリスト」に加えるべき作品となりました。

『メリーに首ったけ』はこの前取り上げた『奇人たちの晩餐会』と同年公開ですが、あれよりもずっとコメディとしてのクオリティが高いです。映画通ぶりたいなら『奇人たち』を推せばいい。ぼくは笑いが好きだから『メリーに首ったけ』を推します。

 キャメロン・ディアス扮するメリーがヒロインですが、まあなんともお綺麗です(ところで、キャメロン・ディアスとジェームズ・キャメロンが結婚したら、彼女はキャメロン・キャメロンになるのでしょうか)。ハリウッド女優という記号は好きではないのですが、本作の彼女は好きです。昔好きだったナオミちゃんに似ています。ナオミちゃんは相馬と付き合ったためにそれまでの純朴少女から小汚いギャル風情になりました。今思えば世紀末の彼女は、キャメロン・ディアスに少し似ていた田舎の糞ビッチだったのです。
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 一体ぼくは何の話をしているのでしょう。

彼女を取り巻く男連中がコミカルに立ち回るわけですが、そのひとつひとつがコメディのシーンとしてとても端正に仕上がっています。誰が観ても滑稽で、誰が観ても馬鹿らしい。そういうものをつくるのは、実はいちばん難しい。なおかつこの映画が大変上手なのは、会話のテンポです。びっくりさせるようなことを言って、「冗談だよ」とかわす。そんな実にありふれたやりとりを、こんなにも美しく決めるのは立派。字幕もうまいです。

 ラブコメの面白さはおそらく大きく言って二つあって、ひとつは「互いの意思の相違を楽しむ」というもの。たとえば、男は浮かれているけど女はつまらなそうにしている、でも男はそれに気づかず浮かれている、その滑稽な様。もうひとつは、こちらがぼくは特に好きですが、「男が格好つけようとして失敗するおかしさ」。

 格好をつけようとする男ってのは、どうしてあんなにも面白いのかと思いますね。
 やっぱり、身の丈に合わない行動それ自体が滑稽だし、その目的が「モテたい」「相手に格好良く思われたい」というきわめて単純でよくわかるものだから、もうおかしくてならないんですね。『今夜、宇宙の片隅で』はそれに溢れているんです。町田康の『告白』でも、村の若い女連中に声をかけてもらいたくてうろうろするくだりがあって絶品。

 
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この映画にも、その要素は充ち満ちていて、精液のくだりはすばらしいものがあります。その前振りとして、「精液がどこに飛んだかわからない」という状況に陥るんですが、それを含めてよくできている。日常的な部分と、「ありえないけどありえるかも」のぎりっぎりのラインを突いていくのが上手い。
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 恋敵が二人、三人出てきますが、みんなアホだからいいですね。結局、女を取り合う男ってのは、どこまでもアホなのだという目線を保っているので、安心して観られます。話のツイストも訊いているし、日焼けしたばばあも面白いし、非の打ち所は見あたりません。既に大ヒットしているからいまさらですけど、今観ても十分面白いです。短めに切り上げていいでしょう。お勧めでございます。
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by karasmoker | 2010-11-12 00:33 | 洋画 | Comments(0)
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