『バトルロワイアル』(3D) 深作欣二 2000(2010)

素敵な殺し合い。
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 3Dで公開中、というわけで観てきました新宿バルト9。3D効果に期待していたわけではなく、大きなスクリーンでもう一度観たいと思ったんです。名画座でかかることもおそらく永久にないし、この機を逃すまいというわけです。案の定、3D効果は無きに等しでございまして、「3D映画だから料金が高く設定されております」というならほとんど詐欺の域です。もっとも、3Dにかこつけて過去の名作を大スクリーンで、という動きならば、まあ続けてもらってもいいのでしょう。『悪魔のいけにえ』とかも、そのように銘打って大画面でやってもらいたいものです。料金が高いのはいただけませんが。

 既に何度も観ているのですが、やっぱり面白いですね。今回のバージョンは「特別編」というやつと同じで、もともとの公開版にはない無駄なシーンがいくつかあって、そこは残念なのですが(バスケの場面と柴咲コウの過去は絶対要らない)、いいところは当然そのままにいいのであって、20世紀邦画最後の傑作と申し上げてよろしいでしょう。

 とってもメリハリが利いているんですね。暴力的な場面とそうでない場面、緊張と緩和のリズムが手を変え品を変え繰り返されているので、飽きが来ない。序盤の教室シーン、キタノが生徒たちに説明を施すシーンは宮村優子のVTRもあって、一気に狂気が高まる。2の竹内力の説明シーンは何もかもがつくりものめいていて駄目なのですが、本作はキタノのジョーカーっぽさがたまりません。このキタノは理想的イーブルの一人です。自分の娘に嫌われていて、生徒の前田亜季に惹かれている、というこの気持ち悪さも素晴らしい。イーブルはそうでないといけません。この映画は血みどろの殺し合いがR15指定の理由になっていますけど、実はいちばんおぞましいのは、キタノの前田亜季に対する偏愛なんです。最後の絵のおぞましさがあるから、本作はただのバイオレンスに留まらないと言えるのです。

でも、わかりますね。前田亜季は非常に丁度いいです。「一緒に無理心中するなら、おまえだよな」とキタノが言うだけのことはあるのです。『リンダリンダリンダ』でもそうでしたが、凡庸の魅力があります。彼女を中心において、柴咲コウや栗山千明といった個性派の女子が大暴れするから楽しくてなりません。栗山千明が言い寄ってくる男子を殺すくだり、柴咲コウが納屋みたいなところで永田杏奈を殺すくだり、にやにやが止まりませんでした。やっぱりあれですな、「女子の啖呵」というのは、ばっちり決まったとき、男のそれを越えますな。太刀打ちできるのはおっさんくらいで、十代の女子と十代の男子、啖呵を切って格好いいのは、どうしたって女子のほうです。

 そして、この映画、映画のつくりとして非常に綺麗、というか、見せ方がうまいわけです。原作の設定勝ちというのもあるんですけど、中心に主人公を置きつつ、方々で殺し合いの爆弾を破裂させていくわけで、複数の小クライマックスを作れます。中でもぼくは灯台のくだりが大好きであります。これまた女子劇ですね。仲のいい女子のグループが互いを疑う羽目になって結局全員死んでしまう、というあのくだりの、女子が銃をもってわめく様は、とても可愛らしいのであります。

 全編を通して、死に方がおかしかったりはするんです。「人はそんな風に死なない」というツッコミをたくさん入れることができます。死に様の多くは、「致命的な怪我を負う」→「そこそこ長い台詞を言う」→「首がかっくり」であって、死ぬ直前の意識朦朧状態でえらく台詞をしっかり喋るもんだな、というおかしみはあるのですけれども、いいのです、そんなのはいいのです、安藤政信が拡声器を持った女子を殺すとき、苦痛にあえぐその声を拡声器で拾って広げるあのサディズムが観られたから、難点も愛嬌なのです。

 なんだかんだ言っても、殺し合いをする映画はとても面白いのであります。仲間だの絆だのをうるさくまくしたてるような映画よりもはるかに楽しいのであります。どうしてこの映画が海外リメイクされないのかとても疑問です。『告白』はハリウッドにモテモテらしいじゃないですか。あんなのよりずっと楽しいはずです。『バトルロワイアル』を韓国がリメイクしてくれたらすんごく観たいです。さらにえげつないことをしそうです。アメリカはアメリカで大味な国ですし、チェーンソーとかを振り回したりしそうだからこれまた面白そうです。

 いろいろ国会を巻き込んでの規制騒動とかあったんですね、この映画の公開当時。それでなんか、正当な評価がされていないんじゃないかと嫌なんです。深作欣二の骨身が入った長編ラストワークです。ぜひともこの機会に、劇場にてご覧になって頂きたい。と思ったらなかなかどうして公開館が少ない!
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by karasmoker | 2010-11-29 05:37 | 邦画 | Comments(4)
Commented by 映画を愛する者 at 2011-04-14 03:38 x
これを面白いと感じるなら、もう映画評論はやめた方が良い。
いくつか評論をみたが、どれも表面しか見ておらず、誰でも気付くような映画の核心に気付けていない。
映画の核心に気付けるか否かは人の先天的な感覚によって決まるが、あなたはそれを備えていないようだ。
もう映画を見るのはやめた方が良い。仮に見るのであれば、自分は表面しか見れていないのだと自覚して、評論は控えるべきだ。

ちなみに私はバトルロワイヤルのいわゆるアンチではない。以上はあなたの評論のいくつかから得た感想である。
Commented by karasmoker at 2011-04-14 05:54
はいはい。
Commented by little pow at 2011-04-14 19:51 x
ツッコミどころの多いヘンなコメントもらって大変ですね。

バトルロワイアルに関しては海外の評価高いですよ。イギリスのエンパイア誌は最も偉大な外国語映画100本(うち日本映画12本)にランクインしていますし。圧倒的なバイオレンスと映画のパワーに満ちた傑作だと思います。日本のAmazonだとやたら叩かれているけどなんなんですかね。『BR』とか『グロテスク』みたいな強烈な個性を持った映画は海外でしか評価されないのかと思うと悲しいです。
Commented by karasmoker at 2011-04-15 00:15
コメントありがとうございます。
まだ子供でしょうから、オトナな対応としてかわしておきます。

 エンパイア誌のランクインというのは知りませんでした(そもそもエンパイア誌をよくわかっていない)が、この映画を入れるなんてなかなかのもんです。アマゾンのけなしコメントを見てみたら、「そこじゃねえんだよな」ってところをつっこんでいるんですね。この映画のどこを愛でるべきなのか、そういうことがわからない人にはこれはもうわからないのかなと思って、哀しくなったりならなかったり。
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