『グーニーズ』 リチャード・ドナー 1985

キー・ホイ・クァンはどう思っていたんでしょうか。
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 人それぞれに幼児体験、原風景、懐かしいイメージというものはあるものですが、この映画は一定数の人々にとって、思い出深い作品なのでしょう。明確なるジュブナイルムービーでした。思い入れのない大人としては、ちょっときつかったです。

前年公開の『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』に出てきた東洋人の子役、キー・ホイ・クァンが登場するのですが、あの映画と引き比べたとき、どうやってもわくわくしようがないのです。向こうはスピルバーグ監督、『グーニーズ』はスピルバーグ総指揮なのですが、ぜんぜん違います。『魔宮の伝説』大好きのぼくなので余計に思うのかもしれませんが、やっぱりね、クオリティが段違いなんです。というか、『魔宮の伝説』を観た子供は、『グーニーズ』では満足できないでしょう。なんというか、すっごく地味なんです。観ながら哀しくなるくらいに地味で、外連味に欠けます。
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 話はと言うと、要するに少年チームの冒険譚です。家の屋根裏で宝の地図を見つけ、その場所に向かうと地下洞窟を発見。しかし偶然居合わせていた強盗たちもそれを嗅ぎつけ、はてさてこれは大変なことに! というのがまあ大筋なのですが、この地下洞窟がものすごく狭いのです。ぜんぜん楽しくないのです。こんなもんね、広かったらとりあえずテンション上がるんです。でもめっちゃ狭いんです。廊下を延々と移動、みたいな感じ。
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 はっきり言ってね、リアリティなんてどうだっていいんです。外連味がすべてと言ってもいいんです。『魔宮の伝説』はそこが素晴らしいんです。奇しくもあれもまた地下洞窟、地下の怪しげな組織の話ですが、とにかく外連味に溢れていたわけです。飛行機を乗り回したり、象に乗ったり、心臓を抜き取る術師に捕まったり、トロッコで逃げ回ったり、連れの女がぎゃあぎゃあ騒いだり。アトラクションとして極上なんです。
 一方、この『グーニーズ』は何しろ金がないらしく、すべてがしょぼいのです。落ちてくる巨岩も、地面から伸びる鋭い棘も、東洋人少年の発明品も、もう何もかもがしょぼくて、辛いのです。リアリティがある、というのは褒め言葉ですが、本作では違う意味でリアリティがあるんですよ。「実際に地下洞窟なんてものがあったらこれくらいの広さであろう」というね。そのくせ、中途半端なギミックを用意したりして、ちょっと辛いです。これが50年代、60年代のものだったら、その古ぼけた感じも味わい、と片付けられるのですが、いかんせん85年ですからね。

 低予算なら低予算なりの面白さもあるわけです。で、今調べてみたのですが、ウィキによりますと、『グーニーズ』の製作費は1985年当時で1900万ドル。ちなみに、インディ・ジョーンズの第1作『レイダース/失われた聖櫃』は1981年で1800万ドル。なんと、『レイダース』より上なのです。うっそー。低予算じゃないのかっ。じゃあもう駄目です。1900万ドル掛けて貧乏たらしいものをつくってはいけません。

 時間的にも2時間弱あるんですが、長いです。サイズとして小さな話なのだから、100分は切った方がいいでしょう。どうでもいい小ネタをたくさん挟んできて、無駄に長引いているんです。早く地下洞窟に入れ、という話なんです。それをなんや家の中でもたもたしているから鬱陶しくなる。大人ぶっている少年みたいなのも別に活きてこないし、年上の女の子みたいなのも要らない。これならあのデブ少年は別班で置いておくとして、メインの冒険チームは男子2人、女子1人みたいなシンプルな構成で行ったほうがいい。キスのくだりとかはもう本当に要らない。何も活きてこないから。

 出てくる要素として特異なものがあるとすれば、あの奇形の男です。あれはどういうつもりで入れたんでしょうか。エレファントマンオマージュなのでしょうか。物語的役割としては、ピンチの子供たちを救う、という機能を請け負ってはいるのですが、いかんせんあいつがあの場所で監禁されていた理由もよくわからず、もっと、もっとなんか子供が喜びそうなもん、なんか無いんか! と思います。あそこで奇形の男を登場させるのがぜんぜんわからないんです。この辺の言い方はちょっとデリケートな部分に障りそうなんですけど、あの奇形の男は、やっぱりちょっと、うわ、と思ってしまうんです。かわいげがないんです。この手の映画だったら、もっと愛しやすい造形にしたらええのに、と思うんです。そのくせ、スーパーマンの衣装を着せたりして、何がしたいねん。
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 90分くらいで、ローバジェット丸出しでつくられていたら、それはそれでよかったはずなんです。金はねえ、金はねえが、心意気はあるんだ! という映画だったら、ぼくは誰がなんと言おうと肯定します。ですが、『レイダース』級に金を使っているんですよ。同年公開の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も1900万ドル。ちなみに80年代の名作で言えば、『E.T』は1050万ドル、『ロボコップ』は1300万ドル、『ターミネーター』は640万ドル。本当なのかなあ、本当に『グーニーズ』は、ウィキの言うとおり、1900万ドルも掛けたのかなあ。これ、0が1つ少ないなら納得だし、2つ少なければ本当によくやったと思えるんですけど、花盛りの80年代中期にあって、これは駄目でしょう。

 作り手の感覚が古いってのもあるかもしれません。あるいは作り手たちが、自分たちが若かりし頃、子供だった頃の冒険ものに思いを馳せて製作したのかも知れない。でも、それをやるには、80年代はあまりにも他が豪華すぎた。もしも人に薦めるときは、「60年代初期のものらしいよ」と騙しておく必要がありましょう。
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by karasmoker | 2011-03-21 23:22 | 洋画 | Comments(0)
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