『L.A.コンフィデンシャル』 カーティス・ハンソン 1997

外連味に乏しく、展開ももうひとつと思いました。
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ツタヤで、「100人の映画通が選ぶ発掘良品」なるキャンペーンがあり、近所のツタヤではその1位になっていた本作です。刑事ものです。当時のアカデミー賞最有力だったそうですが、大方の部門を『タイタニック』にかっさらわれたらしいです。

 話はと言うと、ちょいとごちゃごちゃしています。最終的には刑事のバディ・ムービーに落ち着いていきますが、その途中がなんだかめんどくさいです。ここはいつものごとく、順を追うんだか追わないんだかわからない適当な語りで感想を述べていきましょう。

 主人公となるのはガイ・ピアースで、出世を狙うまじめっこちゃん刑事です。狡猾です。同僚にはラッセル・クロウやケビン・スペイシーがいて、彼らは乱暴だったり気が抜けていたりします。あるとき、レストランで殺人事件が起こります。初めは単純な強盗殺人かと思われていたのですが、そこには同僚の刑事の死体もあって…みたいな話です。
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 話の大きな動き出しはこの殺人事件なのですが、どうも観客の興味の方向付けとしては弱い気がします。というのも、殺されてしまった刑事というのは、それまでの登場シーンで、さほど気持ちのよい人間としては出てきておらず、主人公ガイ・ピアーズを嫌っていた男なのです。素行もあまりよろしくない風に描かれており、彼が死んだことにあまりショックを受けられないつくりなのです。これが仮に、殺された刑事がガイ・ピアーズを引っ張ってくれるよき上司、よき先輩みたいな相手だったら、もっと親身になれるというか、「よし、捜査を見守るぞ」という気持ちになれるんですけど、一体どうしてこういう設定にしたのでしょう。そのほうが、後の展開を考えてみても、「えっ、あの彼がまさか!」という驚きを作り得たろうし。

 サスペンスってね、どうしても捜査の過程が中だるみしやすいんです。だからこそ初めに、こちらの腹が保つようなインパクトと興味がほしいんです。確かにあの惨殺現場はインパクトになるけど、それだけじゃなくて、興味が大切です。そういう意味で言えば、ガイ・ピアーズに敵対的だった人物が死んでも面白くないんです。「さあ、犯人は誰なのだ」とならない。

 規模としては大した話じゃないのです。なのに2時間15分以上ある。水増し感が結構あったというか、どうにもぴんと来ないものが多かったです。個人的には、ラッセル・クロウとケビン・スペイシーがごっちゃになりそうでした。どっちもちょっと垂れ目っぽいし、線は細いけど怖そうだし、出てくるたびに毎度毎度、一瞬だけ迷いました。画的な面白さには乏しかったと思います。お、こいつが出てくると映画が引き締まるな、というのがないんです。
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 キム・ベイシンガーという人はよく知らずに来たのですが、なんだかカプコンのゲームに出てきそうな人です。プレイステーションをフルスペック用いてつくったポリゴンキャラみたいな美人です。この人とラッセル・クロウが睦まじくなったり何なりあるのですが、そのくだりも別に面白くないです。長尺の映画には刺激が必要なのです。この映画で言うと、途中、黒人たちのいるアパートに踏み込みところは刺激になるわけで、ああいうのは絶対に必要なわけです。その意味で言えば、ベイシンガーはもっとパイオツを出すなどしなくてはなりません。彼女の役柄は娼婦です。娼婦だってんなら娼婦らしく、きちんとパイオツを活用しろってんだ! 生ぬるいハグとキスを繰り返すばかりで、パンツの一つも見せやしねえ!『氷の微笑』のシャロン様を見習え! それひとつあるだけで、中だるみは防げるんです。とても大事なのです。名女優に似ているという設定なのですが、その分、娼婦としての役柄を活かせ馬鹿野郎。

 観てみようという人の驚きを減じぬべく、肝心な展開はぼかして進みますが、まあ最終的にはラッセル・クロウとガイ・ピアーズがバディになります。でも、そこに至るまでの部分がなんかすっげー変です。
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 ラッセル・クロウはキム・ベイシンガーと恋仲なのですが、ガイ・ピアーズが一度だけ寝取ってしまうんです。ですが、これは実は悪者に仕組まれていたのであって、ガイは弱みを握られたような格好になります。で、悪者はラッセルにその証拠写真を見せて彼を怒らせ、「これでラッセルがガイ・ピアーズを殺してくれるぞ、しめしめ」みたいになるんですけど、あの、あの、大の大人が、刑事が、恋人を一度寝取られたからって、殺しますか? いや、殺してしまう人も世の中にはいるでしょうけど、悪者が「うまく行ったぜ」的になるのはあまりにもおかしいです。なんかゆるゆるなんです、そういうところが。

 先日、デビット・フィンチャーの『セブン』を久々に観たのですが、あの映画はやっぱり面白いです。というのも、サスペンスに必要な外連味に充ち満ちているからです。無駄なこともしていないです。あるいは不正を暴こうとする映画なら『セルピコ』があるわけで、あの映画の緊張感のほうがずっと良質です。

 もっと短くできたと思うんです。キム・ベイシンガーとのむにゃむにゃも切り詰められるし、有名スターに似せた娼婦のどうのこうのも別になくても成立するんだし、ケビン・スペイシーがテレビドラマの監修をしているとかいうのもどうでもいいし。第一、中心となる話に外連味がなさ過ぎるんです。ひとつの硬派な映画としてはいいのかもわからないけれど、ドキドキしたり先が気になったりってことが、ない映画でした。
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by karasmoker | 2011-03-23 23:43 | 洋画 | Comments(0)
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