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『グロリア』 ジョン・カサヴェテス 1980

『レオン』が好きです。ナタリーちゃんが好きです。
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 リュック・ベッソンの『レオン』って、映画好きの中でも評価の分かれる作品のようですね。一般的に言ってベッソン作品ではいちばん人気があるようですが、宇多丸さんは嫌いみたいだし、行きつけのバーのマスターも嫌いみたいだし(過去に何度かここで書いている「バー」というのは、新宿ゴールデン街にある『地獄のデスマッチ』という店です。映画とプロレスの店でしたが、今年から映画バー一本でやっていくことにしたそうです)、確かキネ旬でもその年のベスト10に入っていなかったと記憶しています。

 さてぼくはというと、『レオン』大好きっこであります。おっさんと少女の組み合わせが個人的に高ポイントであり(こう書くと変な誤解を生みそう、と思うのは意識過剰なのだろうな)、当時のナタリー・ポートマンは『タクシードライバー』におけるジョディ以上の色香を放っており、ジャン・レノのキュートさも言わずもがなである一方、敵役のゲイリー・オールドマンのジョーカーさは史上に残ると言えましょう。

 この『グロリア』のDVDパッケージには「『レオン』の原点だ」みたいな触れ込みが書いてあって、原点などと言い出せばきっと別のものが何かあるのでしょうけれど、まあともかくなるほど設定自体は似ています。本作が『レオン』の元ネタであることは主人公の名前がタイトルになっていることからも明らかでしょう。
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大きく違うのは、『グロリア』はおばはんと少年の組み合わせなのであって、ちょうど『レオン』と対称的になっていることです。また、『レオン』が家族を殺されたポートマンの復讐劇となっているのに対し、『グロリア』は逃走劇がメインであるのも相違点です。その点で言うと、敵キャラの面白みはありません。あいつが追ってくるのか、怖いぞーというのが乏しいです。『レオン』のオールドマンはそれはそれは怖く、だからこそ魅力的だったんですが、本作はなんかおっさんとかじいさんみたいなのがわらわらいるだけですので、映画全体を支えるのは完全に主人公のジーナ・ローランズ(監督の妻でもある)と、子役のジョン・アダムスの二人です。 
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 個人的にはこのジョン・アダムスくんがちいとも可愛くなかったため、好意が抱けませんでした。なんというか、少年というよりも小男みたいな感じです。顔のつくりがはっきりしすぎていて、とてもちびっこい二十代男性みたいでした。なおかつ表情にあまり幅がなく、台詞のトーンにも抑揚がなく、はてさて本作を褒める人は果たしてこの小男ボーイを愛せたのだろうかと疑問にすら感じます。

 いやもちろん、大人に媚びるような子役がいいわけではありません。自分の可愛さを本能的に感じ取り、大人の懐にひょいと飛び込めるような清史郎くん的な子供には反吐が出ます。でも、子供ならではの可愛さというのは本人の意図せざるところでひょこっと顔を出すものであって、なのにもかかわらずこのジョン・アダムスくんはちいとも可愛くなかったのです。『レオン』とで比べるなら、完全に、もうこれは完全に100対0でナタリーちゃんの勝ちなのです。ちなみにあのときのナタリーちゃんはローティーンにもかかわらず煙草をふかしていたのであって、それもまた高得点です。クロエ・モレッツとも違うのです。 

ジーナ・ローランズは結構おばはん丸出しな感じで、これはこれで格好よかったです。お姉さん風味を出すことなく、おばはんとして筋が通っているなという正々堂々とした佇まいです。彼女はよかったのですが、物語としてはちょいとだらだらしています。もたもたしています。

 途中、彼女が少年と別れる場面があるんです。もうどこでも行っちゃいなさい、みたいな感じでね。もうね、あのくだりはね、先が読めすぎているから面倒くさいんです。どう考えても連れ戻すのが確定的なんだから、あんな風に別れるのはなんというか、カップルのつまらない喧嘩を観ているようなうっとうしさがありました。あれね、別れるか別れないかのときになんか事件が発生して、意図せずして別離が訪れるように仕向ければまだはらはらにもなるんですけど、そうじゃないですから。少年はその後、なんかよくわからない子供のたまりでだらだらしていますから。
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 展開としても、結局なんやってん、というところがあります。『レオン』の場合で言うと、家族を殺されたポートマンと出会ったことで、レオンは人と触れあう悦びを知り、それでありながら結果彼女の復讐のために、彼女の平穏な未来のために敵もろとも死んでいくのであって、くーっ、熱いぜレオン、熱いぜレノ! となるんですけど、『グロリア』は散々追い回された後、そして途中で敵の一味をばんばん殺しまくったりもした後、敵のアジトに乗り込み、「この手帳がほしかったんでしょ。くれてやるからもう追わないでね」みたいにして出てきて、ハッピーエンドです。なんざそら。じゃあ最初から渡せばいいのに。
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 あれ? ちょっと不安になってきました。そんなに単純な話だっけ。もっとなんか、渡せない事情とかあるんだっけ。子供を守るのだみたいなのがあったりするけど、正直あの組織だって別に、あんな子供の一人や二人くらい生かしておいても大したことないはずでしょう。だったらひとまず子供をどっかに逃がして、さっさと手帳渡しちゃえばよかったような、あれ、でもそうだとするとこの話は本当に馬鹿らしくなるし、あれ、ぼくの記憶違いなのかな。っていうか、あそこでグロリアが発砲してぶち殺しちゃったのが軽率、迂闊な気がするんだ。あれがポイントオブノーリターンだから。

 クライマックスももたもたもたもたもたしているんです。ワインがほしいの、のくだりのもたもた感はえらいもんです。何の意味もない。エレベータに乗って追われるくだりの、敵の手際の悪さ。ひどく馬鹿な組織です。殺すならさっさと殺せばいいのに、なんですかあの裸の男たちは。

 街の風景の映し方、切り取り方はすごくよかったなあと思うんです。当時のニューヨークの、何とも言えない不穏さが伝わってくる映し方で、ああ、こらよさそうな映画らぞ、と思っていたのに、子供は可愛くないし、敵は馬鹿ばっかりだし。

いろいろ書きましたが、いちばん大きかったのは子供の可愛くなさ、演技の下手さです。あれでもう観る気が半分くらい失われます。思えば『レオン』だって、ナタリーちゃんポイントが相当高いんです。ぼくは「ナタリーちゃんのコスプレショーを賛美する」派です(ふん、なんとでも言いやがれよ)。だから、映画の出来うんぬんというより、ぼくと映画との相性の問題をひときわに感じるのでした。
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by karasmoker | 2011-03-25 22:57 | 洋画 | Comments(11)
Commented by なめこ at 2011-10-11 17:35 x
「自分の可愛さを本能的に感じ取り、大人の懐にひょいと飛び込めるような清史郎くん的な子供には反吐が出ます。でも、子供ならではの可愛さというのは本人の意図せざるところでひょこっと顔を出すものであって、」

大賛成です。
ただそれだけでした。
失礼しまーす。
Commented by karasmoker at 2011-10-11 18:45
 コメントありがとうございます。
 些細なことでも感じたことを伝えてもらえるのは嬉しいものです。
 今後もよろしくお願いします。
Commented by 同じくロリコン at 2014-09-11 10:08 x
ロリコンだからだろ?
素直にそう書けよ
Commented by あぼーん at 2014-10-29 04:15 x
分かりやすいメロドラマだけ見てれば?w
ジャンレノの棒演技の方が、もたもたしてる。
イライラしない程度の「間」だと思いましたよ。
子供も可愛いかった。ナタリーももちろん可愛いけど、あなたが男の子は好きじゃなく、少女のみ可愛いと思うのでは?
Commented by きめえ at 2014-11-09 07:12 x
ロリコンきめえw
Commented by くせえ at 2014-11-26 11:45 x
低学歴ゆけ
Commented by あけちゃん at 2015-05-05 00:07 x
レオンが大好きで大号泣で同じ感動を求めてグロリアを観ました。見終わってあれ???と思い主様のコメにたどり着いて全く同じ思いです。面白いくらい私の感想と同じなのです。子役の男の子。ホームで手を振ってるときなんかは失笑してしまいました。
Commented by 通りすがり at 2015-08-19 11:47 x
先ほどCSで始めてグロリア観ました
勿論家族が殺されるシーンを観てレオンの原点だと気づきました
で感想ですが大体あなたと同じです
馬鹿な子供だという印象でいらいらしたし
なぜそこまでして子供を庇うか理解できませんでした。
手帳にしてもギャングの弱点を利用することもなし
さっさとFBIに渡して解決すればいい等、不満が出てきました。
ただ見所はジーナ・ローランズの演技が素晴らしかったのが
救いです。
Commented by boku at 2015-09-09 19:43 x
男の子は普通に可愛いし下手ではないよ
Commented by 通りすがり at 2016-08-17 02:12 x
男の子がまるで小男みたいってのは、慧眼ですね!きっとこの映画に違和感がある人ってのは、そこがまず引っ掛かってると思います。なぜかオバサンの発砲シーンがクセになり、3回も鑑賞してしまった私ですら、いまだに男の子に慣れませんw
Commented by  1 at 2017-02-11 09:06 x
性欲を基準に映画を見るとここまで濁るのか、のいい例
もたもたしてんのはお前の文章だよw
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