『ヘルボーイ2 ゴールデン・アーミー』 ギレルモ・デル・トロ 2008

模範的な「2」。映像表現、設定ともに言うことなしです。
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最近わりと地味めな映画が続いていたので、この辺でファンタジックな活劇を観てこましたろう、というわけで『ヘルボーイ』。2004年の1作目と続けて観ました。

 アメコミヒーローもの映画といえば? とアンケートを採ったら、『バットマン』と『スパイダーマン』が二巨頭になるんじゃないかと思われ、『X-MEN』がそれを追随するものと思われますが、この『ヘルボーイ』は出来として十分それらに太刀打ちできると思いますね。テレビでやればいいと思うのですが、その辺はどうなっているのでしょう。今地上波でどんな映画をやっているのか、テレビを一切観ない、というか物理的に観られないので、ぜんぜんわからないですね。ところで、日テレは何かにつけてジブリをやっていますね。ピクサーとかはやっているのでしょうか。権利的な面でお金がかかってしまうのでしょうか。ジブリを繰り返し放送するのはなぜかというに、そのたびに一応の視聴率を取ってくれるからというのもあるでしょうけれど、邪推するに、これはいわゆるひとつのマクドナルド的戦略ですね。マクドナルドは子供向けのサービスを展開して、子供の頃からあの味を覚えさせているわけです。そうすると大人になるまで食べてくれますからね。ジブリもそれに近しいものがあるのでしょう。
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 さて、『ヘルボーイ』です。なぜ2を取り上げるのだというに、これは明らかに2のほうが面白いからです。1よりもちゃんとパワーアップしている2であって、1は今となればこの2を活かすために存在しているとも言えます。1はやっぱり、紹介ニュアンスが強いんです。こういうキャラがいるぞ、こういうキャラの背景はこうだぞ、というね。この作品の場合、世界観よりもキャラの魅力が立っているので、存分にそこを活かせる2のほうが面白くなるというわけです。余計な説明無しで、いきなり特殊能力を発露させられますからね。1よりも時間が短く、密度の濃い仕上がりとなっています。2だけでも楽しめますよ。前作を観ないとわからない、というものでもないし。ただ、1を観て2を観るとやっぱりそのほうが面白い。まあ、当たり前のことを言いましたけれども。
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 主人公のヘルボーイの良さもさりながら、2はそれ以外のキャラの魅力にも十分スポットを当てられるわけです。1はどうしてもヘルボーイ押しになるから、結構発想の幅が限定されるんですね。でも、2はいろいろできる。のっけからよかったのはセルマ・ブレア。この人がぼくは好きですねえ。好きな美人です。いろいろされたいです(あっそう)。
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 念動発火と言って体から火を放ちます。ベギラゴン姉ちゃんです。1ではそのトラウマうんぬんという、いわばどうでもいい話が長かったんですけれども、2では意のままに操れるようになり、ビジョンが豊かになっています。この人の活躍の幅が広がったのも作品に華を添えました。ヘルボーイは銃と怪力の主人公ですから、魔法的な快楽には乏しいのですけれども、このようにベギラゴンを用いるキャラがいると、しかもそれがべっぴんであった場合、映画が華やかになります。これは『ドラクエ8』におけるゼシカと同じ役割と言えましょう。
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 あとはエイブという半魚人です。1では物語的な役割をさほど担わず、特殊能力を用いて補助する側面が強かったのですが、2ではラブストーリーの一翼を担い、作品に綾をつけています。これはまさしく「2的快楽」と言えましょう。言ってみれば『MGS4』において、それまでスネークの補助でしかなかったオタコンが、ナオミに恋心を抱くというあれにも似ています。オタコンは1でもスナイパーウルフに恋をしていましたが、ああいうサイドストーリー性がぼくは好きです。今ふと思い出しましたが、『仮面ライダーアマゾン』において十面鬼の手下であったモグラ獣人がアマゾン側に寝返り、その後アマゾンを助けるようになるのですが、やがてはかなくも散っていく、あの話は泣けました。主人公以外の、お話の中心になれなかったやつのエピソードをいかに盛り込むかは、物語において重要なのだとあらためてわかりました。
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1ではヘルボーイとは別に、観客と同じ目線に立つ視点人物がいたんです。でもそれを今回は一切出さなかった。ヘルボーイメインにした。そのおかげで、ヘルボーイが別の人物と出会っていく幅ができて、そういう意味ではきわめて模範的な2と言えます。ヨハン・クラウスというガス人間のキャラもいい。最終的にはヘルボーイ、ベギラゴン姉ちゃん、半魚人、ガス人間というなんとも外連味溢れるパーティが結成され、最終決戦に挑んでいくこととなり、この辺りは『クロノトリガー』にも似ています。あれもカエルとかロボットとかが仲間として活躍しますからね。

 モンスターの造形なども含め、過去に観てきたいろいろなものがふんだんに詰め込まれています。植物の巨人なんかも、『もののけ姫』のでえだらぼっちに似ていると言われますが、ぼくとしては『ワンダと巨像』の巨像に近いものを感じた。過去のゲームで出てきたいろいろなものがミックスされていて面白かったです。1はね、その辺がそこまで魅力的じゃなかったんです。なんなら『グエムル』のクリーチャーのほうがええやんけくらいに思った。でも、2では言うこと無しです。最初の「歯の妖精」もそうですけど、クリーチャーの見せ方がぐぐっと広がっている。

それで言うとトロール市場というのがこれまた面白い。ぼくはああいう異形の連中がうようよしている空間というのが大好きなのです。ああしたワンダーランド感は映画を観るうえでの大きな愉しみと言えます。
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 敵キャラとなるのは、これまた誰もが言うところでしょうが、デトロイトメタルシティみたいな人です。兄妹なのですが、兄と妹が意見を相違させているところもストーリー上の深みを増しています。最初はビジュアル系の鬱陶しそうなやつだと思ったのですが、なかなかのナイスガイでありました。観てあらためて感じたこととして、敵が正々堂々としていると、観ていて気持ちがいいですね。卑怯なやつだったりすると、単に憎々しくてやっつけてハッピーになりますけど、敵が堂々と向かってくると、倒した後にも一種の切なさが宿ります。この辺も物語的にいいところです。
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 映像表現、キャラ設定、ストーリー展開、テンポ、どれを取っても1より躍進しており、文句なしではないでしょうか。うん、思い返してみても、ここをこうすればと思うところがないです。1を観てもらって、「ふうん、こんなものか」と思ってから2を観る、というのをお薦めしましょう。1を観て大満足、ということは少ないと思いますが、その分ちゃんと2で楽しませてくれますからご安心です。これはお薦めです。
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by karasmoker | 2011-09-08 21:00 | 洋画 | Comments(2)
Commented by pon at 2011-09-29 22:34 x
こんにちわ、前からとっても気になっていたのですが、管理人さんのおすすめでもあったので、見ました。う〜 おもしろい。本当にけなすところないです。1は見ないで2からですが、ほんとよかったです。手放しで楽しめたのはひさしぶり。ありがとうございました。ラストでエリザベスが「babies」と答えてレッドがハッとしたところにすかさず、Can't Smile Without Youが重なって、はからずも涙腺がゆるみました。ところで karasmokerさんはアマゾンを連想されたようですが、僕はヨハン・クラウスを見てハカイダーを連想しました(笑)。
Commented by karasmoker at 2011-09-29 23:35
コメントありがとうございます。
 読んでもらって観てもらって、そのうえ喜んでもらって反応をもらえるとは、まさに紹介冥利に尽きるというものです。綺麗に1を超えてきた2として、『ターミネーター』『マッドマックス』『エイリアン』などの列に加えてよい一本だと思います。
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