『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』 金子修介 1999

シリーズ通して、楽しませようという心意気に溢れていますね。
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9月に観た平成版1作目が凄く良かったので2の『レギオン襲来』も観て、この3まで観てみました。2を観たときはぼくの鑑賞コンディションが悪かったせいもあり、あまり感じ入ることができなかったですね。永島敏行の暑苦しい感じも好みではなかったのですね。では、3はどうなのでしょう。

 3では2で出てこなかった中山忍が復帰し、「シノブリン再来」は嬉しかったです。2の水野美紀とは違う、シノブリンの「部下のOLっぽい感じ」、ぼかあ、好きだなあ。
 のっけからあほ丸出しですけれども、本作のメインとなるのは前田亜季のお姉さん、前田愛です。前回の記事で、ぼくたちはもっと前田亜季を愛でていくべきだという突然の主張を展開したぼくですが、ではお姉さんの前田愛はどうなのかというと、ふむ、個人的には少年っぽさが強くて妹ほど萌えられぬのですね。少女成分があと数パーセント濃くなっていればなあと思ってしまいますね。ふむ。
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 それにしても前々回に池上季実子を「季実子様」と呼び出し、大場久美子を愛で、その次の記事で前田亜季を絶賛し、そうかと思えば前田愛をよしとせずにシノブリンのOLらしさが好きだなどとまたも言い出すという、もはやどうしようもない人みたいな調子が続いていますが、愛想を尽かすなら尽かせってんだ馬鹿野郎。いいのっ、このブログはそういうブログなのっ!

 ああ嘘です。ちょいと情緒不安定が炸裂しただけです。読んでくれている方には感謝しているのです。感謝しているからお金をください。

 はい、本当にいい加減にします。
 さて、『ガメラ3』ですが、前田愛がガメラの敵となるイリスの封印を解きはなってしまい、とんでもないことになってしまいます。物語に厚みを持たせた点としては、彼女がガメラによって家族を殺された記憶を持っている、というところです。考えてみるに、これは特大ヒーローものが隠し続けてきた点ですね。ウルトラマンに踏みつぶされた人だっているに違いない、というものの見方は大変興味深いです。『エヴァ』の庵野秀明がメイキングビデオを担当しており、関わっているようなのですが、エヴァでもありましたね。トウジがシンジを恨みに思う、という展開。こういうのは、ヒーローの非ヒーロー面を照射する視点として面白い。そこを中軸に据えた、という設定には妙を感じます。
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 改めて思うこととしては、いかにも「フィルムらしい」90年代の画はいいなあ、というのがありますね。最近の映画、特に邦画について思うのですが、デジタルビデオカメラで撮りすぎているせいで、闇を使えなくなっているように感じます。カメラ技術には何の知識もないので深い話はちいともできませんけれども、昔の映画のよさはひとつに、闇や陰、影を十分に活かしているところがありますね。最近の邦画の多くに対して積極的に観ていく気にあまりなれない、という要因のひとつは、画が明るすぎて薄っぺらくなり、闇や陰が活かせていないのが予告編の段階でわかるからです。夜9時台のテレビドラマじゃないんだから、と言いたくなるものもたくさんありますね。VHSならではのよさってあるじゃないですか、フィルムならではのよさってのは当然にあるわけです。『ガメラ』平成版一作目はそれがフルに活かされていました。夕暮れを活かし、陰影を際だたせていた。それが画の全体にほの暗さをいつでも醸していた。

 本作もその味わいは活かされているのですけれども、1のようなキラーショットが減じていたのはいささか残念でもありました。イリスに体液を吸われ尽くして一瞬でミイラになる仲間由紀恵などが出てくるのですが、これも1で数多く観られたキラーショットに比べれば弱い。1よりもお金が出た分、特撮のレベルも上がり、ガジェットも多用できるようになったのでしょうが、1の頃のようなやったるで精神は少し弱まっていたんじゃないかと思ってしまいました。
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 それでも、ギャオスの渋谷襲撃シーンは圧巻でありました。平成シリーズを通して特技監督を務めている樋口真嗣の本領が否応なく発揮されているのであり、渋谷がどえらいことになっているのがビューティフルでした。これね、街が破壊されるのを褒めるなんて、おまえは311をもう忘れたのかと言われるかもしれないけど、そういうことじゃないんだよ。映画の凄いシーンってのは、凄いもんは凄いんだから、仕方ないんだ。現実と切り離そうぜ。現実と映画を混同するのはよそうぜ。
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 シリーズを通して、街が破壊される場面を街の目線でしっかり撮っているのが頼もしく、今回の渋谷破壊シーンでは容赦がない。ガメラの恐怖もばっちりです。願わくばもっと容赦なくしてもよかったとも思うけれど、そうすると規制が入るから仕方ないところなのでしょう。
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 気になった点としては、山崎千里がどうも安い、ということです。危険な香りのする謎の女みたいな立ち位置ですが、どうも安い。バーゲンのにおいがする。それと手塚とおるが無駄に気色が悪い。あのキャラを置いた理由がよくわからないところです。手塚とおるの気色悪さはテレビドラマの『ケイゾク』が印象深いのですが、本作ではなんか、思わせぶりなだけで結局はいてもいなくてもそんなに関係ないんじゃないかみたいなキャラクターで、ちょっと意図がわかりかねました。
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 あとは、これはもう、世代的な問題なのですかねえ。
 イリスの造形がね、ちょっと狙いすぎというか、格好つけすぎている感がしてしまったんです。ぼくね、ウルトラマンにせよ仮面ライダーにせよ、平成版みたいなのは駄目なんです。かっこよろしなー、と思ってしまう。本作のイリスは平成版ヒーローものに出てくるような造形なんです。ギャオスはそうじゃなかったし、レギオンもそうじゃなかった。昭和の職人がつくってるでー感があった。でも、1999ですからね、1999の小学生をターゲットに考えるなら、あの造形は受け入れるほかないのでしょう。ギャオスみたいな、古き良き怪獣像はそこにはありませんでした。うん、でもこれはきっと、世代的問題。
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 世代的問題ってことでいうと、小山優という人が演じた少年です。前田愛を守る男子の位置なのですが、少年誌っぽいというか、これまた変にヒーローっぽい。前田愛との恋ともつかぬ恋みたいなのを放り込まれたので、ガメラを観たいぼくとしては、いささかどうでもよかったりする。個人的な考えでは、せっかくガメラを憎む少女として前田愛を出したのだから、そっち方面でもっと膨らませてもよかったんじゃないかとも思う。イリスを育てるくだりみたいなのをもっと哀しくまがまがしく描いたほうが熱くなったんじゃないでしょうか。しかし映画ではわりと早い段階でイリスと前田愛が離ればなれになるため、両者の繋がりが少し弱い。邪悪なものに恋してしまった前田愛、でいいのに。そうすれば彼女の葛藤がもっと強くできたのに、その振れ幅がない。それで山崎千里の謎の行動なんかを見せられても。
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 ラストはよかった。あのラストはいい。格好いい。いいのだけど、その直前、ガメラと通じ合うみたいな瞬間は要らない、とぼくは思った。2でね、「ガメラは地球の守り神だ。だから場合によっては、人間の敵になるかもしれないぞ」みたいなことを言っているのだから、なまじ人間ごときと通じ合う必要はないのです。人間を守る、みたいなのは要らないニュアンスだと思ったのです。通じ合ったとしても、1の藤谷文子みたいに、あくまで控えめにしていればいいのです。孤独な英雄ガメラ、だから格好いいってぼくは思っているのです。だからこそ2で、「ガメラを援護しろ」という展開になったとき、おおおおおおおおおお、と感動を覚えたのです。そして、今回も。そんなぼくからすると、硬派なつくりの平成版ガメラにしては、ちょっと安心させるほうに寄っちゃったんじゃないかと思いました。うん、前田愛にまつわる振れ幅がどうもなあ、というのがあります。
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 平成版ガメラって、結構どれが好きか分かれるみたいですね。それはつまり、どれも高い水準をキープした良いシリーズだということです。ぼくは1が好きですね。2も3も十分に見応えがある。今後、こんな風な怪獣映画は日本で生まれるでしょうか。うーむ、うーむ、うーむ。311があったし、できたとしてもずっとずっと先のことになってしまうでしょう。うーむ。
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by karasmoker | 2011-10-29 00:00 | 邦画 | Comments(0)
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