「ほっ」と。キャンペーン

『欲求不満おんせん』 アベラヒデノブ 2012

脚本をもっと練り込めばいいのに、とは感じました。

つくしさんよりオーダーいただきました。ありがとうございました。





 自主制作の映画、というのは普段観ることがまったくないので、新鮮ではありつつも、どういう目線で語ればいいのか少し困ってしまいます。本作は玄人はだしのとんでもない作品、ということでもないので、ちょっと書き方が難しいのですね。

 本作はYoutubeで公開されているのですが、映画とは別の部分で少し気になるのは、コメント欄のところです。すぐ確認できるので見てもらえばと思いますが、ある人のコメントで「そこそこ良く出来てると思います。でもたった34分なのにずいぶん無駄なシーンが有る様に感じますね。20分にまとめられると思います。」というものに対し、監督自身が「真面目か!!! どこぞの大学教授臭ぷんすかぷん!」という返答をしているのですね。

 うーん。
 真面目に観てはいけない作品、なんですかね。
 ここでいう真面目というのは別に、「肩肘張ってしかめ面で観る」ということじゃなくて、「人様が真面目に作ったであろうものをちゃんと観る」ということです。それは当たり前の作法であろうとわきまえていたので、「真面目か」という返答には首をかしげてしまいます。

 じゃあさしあたっては不真面目な話からしていきますと、本作に出演した楠本美紗という人がちょうどよく可愛いです。観ながら何度も、ちょうどええわあ、と呟いてしまいました。まさしく温泉の湯加減という感じで、可愛さがちょうどいいんです。ちょうどよく野暮ったく、演技もちょうどよくほわんとしていて、なんならこの人がただ風呂に入っている様を30分見せてもらえればそのほうが楽しかったですね。というのが、監督の望むであろう、真面目じゃない意見です。いいじゃないっすか、そんな感じのノリで。ノリで撮っちゃえばいいんじゃないっすか。

 と言って別に喧嘩腰になる気はないのであって、ここからはとりあえずはいつも通りの感じで参りたいと思います。
 主人公は二人の青年で、片方が役者志望という設定。その彼が引っ越しをするというところから話は始まります。もう片方の友達の男を監督自身が演じています。
行った先は格安の一軒家で、そこで幽霊に出会ってうんぬんするというお話です。

上のコメントでは「20分にまとめられる」とありましたが、35分弱の作品にそう言ってしまうのも酷な意見でしょう。本作はホラーとコメディを組み合わせたような作品だし、いろいろ遊びを仕込んで膨らませるのも一興なのですから、長さ的には別にいいわけです。

ホラー演出も見所がありました。ガチでホラーを撮ったらいいものを撮るんじゃないかと思わせる演出が見受けられたし、低予算映画という部分で割り引いてみれば、別段うるさく言うべき不備はない。

 ただ、無駄が多いというよりも、効果的ではない部分があるんですね。尺を採るうえでもったいないというかね。脚本の工夫というのは自主制作だろうがハリウッドのビッグバジェットだろうが同じ地平で戦える場所だから、むしろ練り込みどころだと思います。すいませんね、真面目な話で。いやあ、ぼかあただ、普通状態の楠本美紗さんの入浴シーンがもっと見たかっただけなんですよ、へっへっへ(これでいいわけがない)。

 たとえば管理人のおっさんが出てきていろいろやりとりをするのですが、別にあの人は要らないでしょう。「呪われてるんですよ」みたいなことを言って必要情報を明示し、不気味な雰囲気を醸してはくれるけれど、あの場所がいわくつきなのは「月の家賃が500円」というところで説明充分なのだから、あの人物ごと切った方がいい。あとは役者志望という設定も要らない。さぼって空想に耽るシーンでキャラクターを出したいのはわかるけれど、いかんせん作品全体を観たときに役者志望である必要性がない。どうせだったら、最初は幽霊が見えていないのだから、「見えているふりをして振る舞う」みたいなことを入れ込んで遊んでもいいのにそういうこともない。

 タイトルにもなっているし終盤で鍵を握るのだから、温泉好きなキャラで押せばよかったんじゃないですかね。24歳のニート、はそれでいい。たとえば役者志望じゃなくて、「俺はいつか宝くじに当たってでっかい温泉をつくるんだ。そんでそれを独り占めしてやるぜ」みたいなことでもいいでしょうし、とにかく風呂好きキャラを活かしておいたほうがよかったでしょう。短い作品なのだから、一貫性があったほうが絶対締まる。格安でも風呂付きで、しかもユニットバスじゃない物件を探していたらあの家が見つかった、なんてのを付け足してもいい。そのほうが、風呂にこだわりをもったあの幽霊との親和性がもっと高くなった。

 ホラー映画と見せかけて、幽霊がコメディっぽく振る舞うのはいいんです。不要なおっさんを出すくらいなら、あの幽霊との掛け合いでもっと遊んだらもっと楽しかったでしょう。たとえば、消えてほしいのになかなか消えてくれない、どうしたもんか、と悩んでみたりね。酒を飲ませたら寝ちゃったぞ、とかあっても面白いでしょうし、そのあと酔っぱらって気の大きくなった男が缶ビールをぶつけてしまい、その結果幽霊が暴走してしまうとなれば、緊迫感も出たでしょう。つまりは遊び方の工夫です。無駄な場所、切っていい場所が多いわけじゃない。効果的に機能していない部分が多いという話です。

 監督演ずる男が塩を掛けて「悪霊退散!」なんてやりますけど、あれにしてももっと活かしようはあった。たとえばこんなのはどうでしょう。ぜんぜん塩が利かない、はてどうしよう、塩が尽きちゃった、そこで無我夢中で温泉のもとをぶっかける、そうすると幽霊の反応が意外にも……みたいなのがあればスムーズに繋がったんじゃないでしょうか。

 低予算映画に対して、ライティングやら映像演出やらを四の五の言うのは野暮です。だからその点はかまわないし、幽霊演出はむしろ野蛮さがあって見所もあった。ただ、それをもっと活かす脚本はできたかなあという感じがします。脚本の練り込みが、足りていないように見受けました。その点が残念でございました。

え、そんな偉そうなことを言うなら、おまえが撮ってみろって? 


やだなあ。

真面目かよ。


[PR]
by karasmoker | 2015-06-19 00:00 | 邦画 | Comments(0)
←menu