「かけ算の順序」問題の最終回答

 ツイッターなどを眺めておりますと時折、小学校のかけ算に関する議論が観測されます。

 Q.りんごが3こずつ、4つのおさらにのっています。ぜんぶでいくつでしょう?

 これに対し、

 A.3×4=12

と書いたら○がもらえて、4×3=12だと×にされてしまう
そんな報告がネットに上がり、一悶着が起こるわけです。

当然ながら数学的には、両方とも正解です。ではなぜ×にされてしまうかといえば、算数における「意味理解」の段階というものがあるそうで、小学校の先生の中にはその辺でこだわりを持つ方もいらっしゃるようなのです。

 この問題には、とても簡単な解決策があるように思います。

 前提として、両方を○にしたうえで、次の授業で議論の時間を設ければいいのです。

 教師が生徒に対して、「3×4って書いた子と、4×3って書いた子がいるけど、どっちが正しいのかな?」などと発問してみる。すると中には、「どっちでもいいに決まってるじゃん」と聡い子もいるでしょうし、「3×4が正しいよ!」と主張する子も出てくるでしょう(大人たちのツイッターがそうであるように)。

そこで、「4×3」と書いた子が発言してくれるようなら、どうしてそういう風に式をつくったのか、答えさせてみればいい。あるいは教師サイドから、4×3だとどういう解釈ができるのかを考えさせてみればいい。

 そうやって時間を割いたうえで、「なるほど、かけ算の場合はどちらでもいいんだね」という風に結論づけておけば、数学的正しさは無傷で留まるし、子供は子供で、自分とは別の見方、捉え方に気づけると思うのです。

 これを広げて考えれば、よく言われるような話、「正義と悪」の二分法ではなく、「正義とまた別の正義」のような政治哲学的テーマにまで、教育の機会を与えられるのです。いわゆる「多様な見方」というものを獲得できる機会になるはずで、単に算数の問題に収まらない、実りのある議論を築けるわけなのです。

子供を教育するというのは、そういうことではないかと思います。
 安易に「どちらでもいいんだ」と提示するのでもなく、「こちらが正しい」と決めつけるのではなく、双方の視点からものの見方を示すこと。そうやって、算数に留まらない思考の幅を広げること。それがまた、算数そのものの理解をも深めるはずなのです。

かけ算の順序はどちらでもいい。ただし、どうしてどちらでもいいのかをちゃんと考えさせること。その機会をしっかりと与えること。

 この議論における最終回答は、以上をもって決したのではないでしょうか。

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by karasmoker | 2016-11-20 16:08 | 社会 | Comments(3)
Commented by 通りすがり at 2016-11-26 17:02 x
元々、乗法の交換法則も、どうしてそれが成り立つのかも、2年生で習うはずなんですけどね。
多様な見方を教えた上で、発達段階がどうとか読解力がどうとか言って、特定の見方だけを正解にすべきと主張してる人達がいるんです。
Commented by 積分定数 at 2016-11-26 22:34 x
初めまして。

「この問題には、とても簡単な解決策があるように思います。 前提として、両方を○にしたうえで、次の授業で議論の時間を設ければいいのです。」とのことですが、

 「小学校教師がこうすれば問題解決」というのはほとんど意味がないと思います。というのは実際に彼らが思惑通り動くわけではないのですから。
Commented by karasmoker at 2016-11-27 16:46
コメントありがとうございました。
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