『ブギーマン』 スティーブン・ケイ 2004

90分の短さなのに、観る側を待たせすぎている


ブギーマン、という言葉だけは前々から知っていたのですが、もともとは民間伝承のおばけというか、「悪いことをするとブギーマンが来るぞ」的な存在なのですね。映画も複数制作されているようで、ぼくはてっきり古めの映画と思ってこのDVDを借りたのですが、かなり最近のものでした。

 いやー、面白くない映画でした。久々にぜんぜん面白くない映画を観たという感じです。サム・ライミ製作であり、大作『スパイダーマン』シリーズをつくった彼が絡んでいるのだからそれなりのものであるのだろう、と思いきや、まったく面白くない。90分なのに長く感じられました。

 映像に深みがないと言いますか、照明の当て方やカット割りなどがどうにもCF的なのがまず気になりました。それに映画の大半でずっと映り続けている主人公の男もあまり魅力的でない。この男を映し過ぎなんです。これはこの手の映画ではあまり有効とは思われません。

映画では男が数々の恐怖体験をするのですが、どれもこれもただ怯えているだけに思えてしまう。劇中で彼は「ブギーマン」の影に怯えており、「父が死んで十五年、ずっとおまえの妄想だと言われ続けてきた」などと語るのですが、あれだけ男のアップカットが多くなれば、観客もそう思ってしまうと思うんです。主人公の男のアップが多くなると、どうしても「その男の話」になってしまうんです。その男の世界、を見せられてしまう。これは観客が男に感情移入するというのとは微妙に、絶妙に違っていて、「その男が捉えている世界」を見せられている気分になるのです。観客が感情移入するのって、そういうことじゃないはずです。

 妄想ではない、とアピールするように、ラストシーンでは他の人間も同じような怖い目に合わせるのですが、ああいう状況になる必然性、つまりあの女が出てこなくてはならない理由が正直わかりません。「これは男の妄想じゃないんだよ、劇中で本当に起こっていることなんだよ」とアピールするだけのために存在しているような女でした。初めのほうで馬に乗って登場したのもよくわからないし。それにあの行方不明の少女もよくわからない。あれをすると余計妄想っぽくなってしまうじゃないですか。

 ちょっとCFっぽいながらも最初のシーンはまだ期待させるんです。つかみの演出は一応しているんです。でも、その後何か起こりそうで延々と何も起こりません。そのくせ最後のほうはぐちゃぐちゃです。めちゃくちゃ急ぎ足でいろいろ起こる。怒濤のごとき恐怖、ではないんです。途中あまりにもだらだらしすぎているから、急いで詰め込んだみたいな印象でした。ラストもひどくまずかった。ブギーマンが消えて、「もう大丈夫さ」みたいになって終わるのですが、どうして「もう大丈夫」状態になるのかがわからない。人形を壊したからでしょうか。じゃああの人形は何やったんや。もう説明が足りなすぎるんです、何もかも。

総じて言うと、観る側を待たせすぎていると思うんです。ずっと何も起こらず、ほんのちょっとした恐怖やびっくりの羅列ばかりが続くから、当然後半へと期待が繰り越され続け、その末にあんな急ぎ足でごちゃごちゃ見せられても楽しくないんです。まったくおすすめはしません。
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by karasmoker | 2009-01-14 03:46 | 洋画 | Comments(0)
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