『セックスと嘘とビデオテープ』 スティーブン・ソダーバーグ 1989

最近の日本の女性作家が描く純文学みたい。つまりぼくにとってはどうでもいい。 
d0151584_2241985.jpg

 主人公アンは、有能な弁護士ジョンを夫に持ち、郊外の大きな邸宅に住む何不自由ない暮らしを送っていた。しかし、家庭ではセックスレスと鬱病に悩み、精神科に通う日々。そんなある日、夫の大学時代の友人であるグレアムが家捜しのため数日泊まることに。少々変わり者で芸術家のような風貌をしたグレアムに興味を抱くアン。しかし、軽い気持ちで訪れた彼の家には不特定多数の女性が性的な問題について語っている奇妙なビデオテープの山があった…。(ウィキペディアよりあらすじ)

 ソダーバーグの初の長編監督作とのことで、弱冠26歳でパルム・ドールを撮ったらしいです。作品名だけは知っていたのですが、予備知識なしで観ました。ツタヤディスカスに加入して観た最初の作品です。

 これはねえ、うん、ぼくにはある意味判断不能なところがある映画ですね。いやあ、これを撮影した当時のソダーバーグとぼくの年齢はほとんど変わらないと思うのですが、こうも考えていることが違うかなあと思います。というのは、この映画はぼくにとって、一切の切実さを帯びないテーマだからです。夫婦のセックスレスとか浮気とかその辺のもにょもにょしたことはぼくのアンテナに引っかからないのです。

 いわゆるアラサーの女性などは好きそうですね。つまり、ぼくにはてんで引っかからないということです。このしっとり感はちょいと苦手かなあと感じます。うん、テーマとしてぼくから一番遠いというか、「セックスレスに悩む妻」という生き物は、ぼくからするとかなり疎遠な存在なんです。何を悩んどんねん、と言いたくなります。この辺の事情について、同じような気持ちを抱く人が観たらきっと違うんでしょうけど、ぼくには本当に興味がないんですね。うん、感想を書きながらこんなことを言うのも変な話なんですけど、「ぼくはこの話にちっとも興味がありません」というのが率直なところなんです。

話の鍵になるビデオテープには、性的な事情を話す女性のインタビューが収録されているのですが、この辺の力のいれ具合、あるいは抜き具合が、現代の純文学っぽくて面白くないんです。最近の芥川賞っぽいと言いますか。今時の純文学って、特に女性作家が描くものについて感じるんですが、どうもパンチが効いていないというか、しっとりとええかっこしいというか、すかしてるというか、肝心なところでしなやかすぎるというか、どうも好印象を持てずにいて、この映画のビデオテープのくだりなんかにもそうした印象を拭えませんでした。だからある意味、これが好きだという人はきっといるだろうな、とは思います。その人はきっと、ぼくとは絶対に友達にならないでしょうけれど。

 秀逸な表現はありました。寝室のやりとりで、夫が妻に対し、絶対に浮気はしていないと言い張るのですが、後日妻が寝室を掃除中、浮気の動かぬ証拠を見つけ出します。このときの妻の表情は絶品です。あの間は素晴らしいですね。あの間を大事にすることが映画的に尊いことだと思う。その直後の躍動にもつながって、あのシーンだけはとても引きつけられました。

 全体を通して印象に残ったのはそれくらいのものです。四人の役者は皆いいですね。四人が四人とも独立した風合いを帯びているのはいいんですが、もうちょっと遊んでほしいというのが正直な感想です。
[PR]
by karasmoker | 2009-03-10 00:47 | 洋画 | Comments(0)
←menu