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この世界は敵だらけ。でも、太陽が味方している。
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 ここ最近観た映画の中で、明確にびびびっと来た作品でした。観終えてから良さがわかるってのが結構多かったんですけど、これは観ながらずっとよかったです。観る前にその映画を好きになれるかどうかのセンサーが働くんですが、今回はばっちり当たりました。

 女性二人の映画、女性二人のバディ・ムービーでここまで「くーっ」となったのは覚えがないですね。主演はスーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスなのですが、この二人のバランス感がすごくいい。結構序盤から惚れてしまいました。
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 スーザン・サランドン演ずるルイーズは独身のウエイトレスで、ジーナ・デイヴィス演ずるテルマは夫の圧制を受けている専業主婦。彼女たちは数日間の小旅行のつもりで車を走らせます。ドライブに出るのが序盤十分あたりですが、もうドライブに出る前の時点で、彼女たちの性格がよく描写されている。オープンカーのトランクに荷物を詰め込むくだりで、しばらくこの映画は大丈夫だろうな、と信頼できました。別に何をしているわけでもないんですけどね。この二人の感じがわかるんです。
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 で、出かけた先でいろいろと起こるわけですが、この映画のいいところは、徹底して男どもを信頼していないところです。男性嫌悪映画と言っていいでしょう。男性嫌悪映画を愛でるなんてことは今まで一度もなかったように思うのですが、この映画は爽快です。男どものくだらなさとか小ずるさとか権威的な振る舞いがわかりやすく描かれ、二人はそれに媚びることなく「けっ」と言ってのける。銃をぶっ放す。これは爽快です。
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 アメリカ映画最大の武器と言える荒野がぜいたくに映されているのもポイント大でした。宇多丸さん風に言えば、「俺たちが自慢されたいアメリカ」がありました。アメリカの荒野を観たい、っていう場合にも大変お薦めです。ロードムービーなんですが、この二人の旅をずっと観ていたいと思えた。時間は2時間10分弱で、中盤ちょっと長いんじゃないかとも思ったんですが、いや、途中からね、この二人の旅を終わらせないでくれと思えたんですね。そういう映画って、なかなかないです。その時点で、結末がどうなろうがひとまずどうでもいい。そして、あの結末。
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 いろいろと褒めどころがあるわけですが、何しろこの二人がいい。特にジーナ・デイヴィス(テルマ)が素敵です。キャラクター的には、スーザン・サランドン(ルイーズ)が引っ張り手なんです。しっかりしなさいよ、というのはルイーズ。テルマは暴君的な夫から解放された晴れ晴れしさもあって、とても楽しそうにはしゃぎます。子犬の真似をする場面があるんですが、なんて可愛らしいのでしょう。これね、この二人が若い娘だったら正直、こんなに好きになれないと思うんです。でも、二人はもう三十過ぎで田舎暮らしで、この先どれほどのことが人生にあるねん、という部分もちょっとあるわけです。その辺の、実存的バランス感も大きいです。で、時としてテルマが引っ張るっていうね。ルイーズがちょっとびびったりするっていうね。うん、もう文句のつけようがないですね。
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 テルマのはしゃぎっぷりを観るだけでもこの映画は満足させてくれましょう。ブラッド・ピット演ずる若い男と出会った次の朝のシーンはなんと可愛らしいのでしょう。で、このブラッド・ピットがまたいいんです。あのー、なんていうか、ああ、ナンパがうまいやつだな、とわかる。細かいやりとりがね、いいんです。「俺は強盗をしたんだぜ」と言ったうえで、ああいうことをするあたり。
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 彼女たちはとある出来事から警察に追い回されるんですけど、刑事役はハーヴェイ・カイテルです。彼のいい意味での存在感のなさ、彼が出てくる捜査シーンの90年代っぽさが、テルマたちの70年代的光景と対比されて、映画に起伏が生まれている。

 言ってしまえば全編がアメリカンニューシネマ的ですが、テルマとルイーズのやりとりはニューシネマになかったとびきりの明るさに満ちていました。太陽が味方していました(なんじゃその言い方)。でね、彼女たちはもともと、ぜんぜん犯罪者でもなんでもないんです。むしろそういうものとは無縁の世界で生きてきたわけです。その彼女たちが、日頃のストレスなり何なりをあの旅で存分に発散し、男どもの馬鹿さに振り回され逆襲していく。振り回されるだけでも駄目。逆襲するだけでも駄目。何度も言いますが、最高のバランスに満ちている。そして、あのラストはちょっと、鳥肌が立ちましたね。
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 観ていない方がいるとしたらあまりハードルを上げたくないんです。映画ってハードルを上げて観ても何もいいことないですから。でも、この映画は褒めてしまいますねえ。
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 あの終盤のくだりが放つ映画的な快楽の前にあっては、何も言うなです。でねえ、あの落とし前の付け方ですけど、あれこそ正解って感じがしますね。うん、この映画にとってあれ以上の正解はないです。大げさに言えば、「絶対的正解」と言ってもいい。今までの旅で経験してきたいろんなもんがわーっと巡ってきて、今後の人生がわーっと巡ってきて、わーっ、です。アメリカンニューシネマは数あれど、あんなに素敵なラストは観たことがないかも知れません。『バニシングポイント』、確かによかった。『イージーライダー』、うむ、あれはあれでわかる。あるいは『マーダーライドショー2 デビルズ・リジェクト』、あのラストは本当に最高。でも、ぼくは今後、本作のラストをいちばんに推そうと思います。実にあっぱれな快作でございました。
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2011年も下半期。映画評サイトによっては上半期ベストテンなどを挙げているところもありますが、ぼくは今年公開の映画を10本も観ていないのであって、旧作ばっかりの日々です。しかしまあ有名な旧作を観ていくのも大切だよ、映画史を捉えていくのは大切だよ、というわけで、7月4日の独立記念日に先駆け、アメリカ映画の50年を振り返ってみます。たまには企画的な回も設けたほうがいいんじゃないか、そのほうがモテるんじゃないか、ことによってはパンティーを見せてもらったりできるんじゃないかと思い、50年の50作を選びました(ツッコミ無用)。

 映画評サイトは数多くあるのですが、その書き手の皆さんは大変映画に詳しいので、むしろこういうベーシックな選出遊びをしないように見受けます。通家通人の皆さんはこの辺の映画を当たり前にずっと前に観ているのであって、むしろメジャーではない、自分の趣味領域を深く掘っているようにも見受けます。海外でしかソフト化されていないような作品を輸入して観たりとか、VHSしか出ていないZ級をひたすらに愛でたりとか、ぼくにはまだまだ踏み入れぬ領域です。

ぼくはそういう部分はてんで話せない程度の人間ですが、一応世間一般の平均よりは映画を観ているので、これから映画をたくさん観てみたいなと思う人を、エイガミ界の入り口辺りで案内しようと思います。

選出基準としては、それなりにメジャーであるもの、映画史的に重要であるもの、その時代の映画として代表しうるもの、とりあえずこの辺から観始めるのがよいよというもの、まあざっくり言うとそんな感じです。ぼくあたし俺映画好きなんですよー、というのならこれは押さえておきたいよ、という作品であります。

 などと知ったような口を聞きつつ、ぼくもまだまだエイガミ学校低学年でありますから、観ていない映画はいっぱいあるのです。え、それ観てないの? という作品を観ていなかったりもします。なので、あの作品が入っていないのはどうかね、というのもあろうかと思いますが、その場合はぜひお教え願いたいと思います。

 個人的嗜好はどうしても選出の中核になりますがその一方で、個人的には好きじゃないけど映画史的に大事らしいよ、というのも入れてあります。映画の話をするときよく出てくるよ、という作品も入れてあります。観ておくべき作品と言えましょう。

逆に、「え、これ入れるの?」というのもありましょうが、まあそれはそれでいいじゃないっすか、全部が全部キネ旬の一位みたいなもん並べたってしゃあないじゃないっすか(急に軽くなったな)。入れたのには一応ちゃんと意味があるのですよ。

監督案内でもあるため、いろいろな人を入れました。多くても1人の監督で2作品までにしてみました。「この監督ならむしろあれだろ」というのもありましょうが、うるさいうるさい、それなら自分でリストをつくってくれ、あんたのリストをぼくは見たいぞ。

 2作品、非アメリカ映画が入っていますが、アメリカ映画を語るうえで大事なので例外的に入れました。映画通ならすぐに気づくのでしょうが、ぼくが読み手として想定しているのは、これからたくさん映画を観てみようと思っている、エイガミ小学校低学年の人たちです。どれが非アメリカ映画か、わかるかな? それでは行ってみよう!

1.『サイコ』 アルフレッド・ヒッチコック 1960
2.『アパートの鍵貸します』 ビリー・ワイルダー 1960
3.『ハタリ!』 ハワード・ホークス 1961
4.『何がジェーンに起ったか?』 ロバート・アルドリッチ 1962
5.『荒野の用心棒』 セルジオ・レオーネ 1964 
6.『暴力脱獄』 スチュアート・ローゼンバーグ 1967
7.『俺たちに明日はない』 アーサー・ペン 1967
8.『2001年宇宙の旅』 スタンリー・キューブリック 1968
9.『猿の惑星』 フランクリン・J・シャフナー 1968
10.『ローズマリーの赤ちゃん』 ロマン・ポランスキー 1968
11.『ワイルドバンチ』 サム・ペキンパー 1969
12.『時計仕掛けのオレンジ』 スタンリー・キューブリック 1971
13.『ポセイドン・アドベンチャー』 ロナルド・ニーム 1972
14.『ゴッドファーザー』 フランシス・F・コッポラ 1972
15.『セルピコ』 シドニー・ルメット 1973
16.『エクソシスト』 ウィリアム・フリードキン 1973
17.『悪魔のいけにえ』 トビー・フーパー 1974
18.『カッコーの巣の上で』 ミロシュ・フォアマン 1975
19.『JAWS』 スティーブン・スピルバーグ 1975
20.『タクシードライバー』 マーティン・スコセッシ 1976
21.『ロッキー』 ジョン・G・アヴィルドセン 1976
22.『カプリコン・1』 ピーター・ハイアムズ 1977
23.『スターウォーズ』 ジョージ・ルーカス 1977
24.『ゾンビ』 ジョージ・A・ロメロ 1978
25.『エイリアン』 リドリー・スコット 1979
26.『トロン』 スティーブン・リズバーガー 1982
27.『ブレードランナー』 リドリー・スコット 1982
28.『スカーフェイス』 ブライアン・デ・パルマ 1983 
29.『ランボー/怒りの脱出』 ジョージ・P・コストマス 1985
30.『ザ・フライ』 デヴィット・クローネンバーグ 1986
31.『ロボコップ』 ポール・ヴァーホーベン 1988
32.『ゼイリブ』 ジョン・カーペンター 1988      
33.『チャイルドプレイ』 トム・ホランド 1988
34.『シザーハンズ』 ティム・バートン 1990
35.『レザボア・ドッグス』 クエンティン・タランティーノ 1992
36.『ジュラシック・パーク』 スティーブン・スピルバーグ 1993
37.『トイ・ストーリー』 ジョン・ラセター 1995
38.『フロムダスク・ティルドーン』 ロバート・ロドリゲス 1996
39.『ファイトクラブ』 デヴィット・フィンチャー 1999
40.『ブレアウィッチ・プロジェクト』 ダニエル・マイリック エドワルド・サンチェス1999
41.『アメリカン・ビューティ』 サム・メンデス 1999
42.『マルホランド・ドライブ』 デヴィット・リンチ 2001
43.『ショーン・オブ・ザ・デッド』 エドガー・ライト 2004 
44.『トゥモローワールド』 アルフォンソ・キュアロン 2006
45.『ノーカントリー』 コーエン兄弟 2007
46.『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 ポール・トーマス・アンダーソン 2007
47.『ウォーリー』 アンドリュー・スタントン 2008
48.『ダークナイト』 クリストファー・ノーラン 2008
49.『グラントリノ』 クリント・イーストウッド 2009
50.『アバター』 ジェームズ・キャメロン 2009


うーん、あらためて見るとずいぶん偏っている気がしないでもない。恋愛的要素がきわめて少なく、暴力的要素が多すぎる気もする。ホラー要素が多すぎる気もする。まあ、どのみちニュートラルな選出なんていまのぼくには無理なのさ。もっと別の視点から50作並べられるのはずっとずっと先だろうね。日本映画もやりたいけど、まだまだ知らなすぎるね。フランス映画でやるとしたら20年くらい先だろうね。アメリカ映画を観る際のなんらかの参考になれば、幸いでございます。
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