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夢見るじいさんのロードムービーってのは、素敵ですなあ。
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井上luwakさんよりリクエストいただきました。どうもありがとうございました。

アンソニー・ホプキンス主演で、実在したバイク乗り、バート・マンローという人のことを題材にした映画です。「インディアン」というのはバイクの車種のことであり、マンローは1000cc以下のオートバイで世界記録を樹立した人なのだそうです。
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 特に男の場合、十代後半くらいからバイクに興味を持つ人というのも世間には結構多いようなのですが、ぼくはぜんぜんでした。ぼくが人生の中で最もバイクに近づいたのはむしろ幼子の頃、仮面ライダーに熱狂していた時代であって、この映画ではあのライダーのようなエンジン音がとどろいていて、なんだか懐かしくもあったのでした。
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 ホプキンスは世界記録を夢に見て旧式バイクの整備にいそしむのですが、この辺はちょっと『グラン・トリノ』っぽくて好きでした。このブログで『グラン・トリノ』を評したのは日本公開時のことで、その頃はぜんぜんよさがわかっていなかったんですが、いやあ、読み返すと不明を恥じるというか、「若かったのう」というような記事であって、見方が成熟してからやっとわかるような映画というのは、やっぱりあるのですね。自分も日に日におっさんへと近づいていくわけですが、そうなればなるほどおっさん映画への思い入れも強くなるのであって、ホプキンスがぼろ小屋で旧式バイクを大事にしているのを観ると、ああ、このおっさんの人生がここにはあるのだなあ、という風に思えてくるわけです。
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で、彼はニュージーランドにいるので、記録レースに参加するためにアメリカに渡るのですが、その道中の様子がロードムービー、まさしくこれぞ一期一会という案配で描かれていきます。ニュージーランドからアメリカに来たおじいさんがアメリカで右往左往する、というのがなかなか面白くて、個人的にはおかまの人との一期一会が好きでした。あとは地元の暴走族連中が餞別をくれるところですね。この映画に出てくるのはほとんどみんないい人ばかりですけれど、まあこの映画ではそれでよいのです。
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 ロードムービーというジャンルが基本的に好きなのですけれど、それはなぜかと考えてみるに、それが人生のメタファとして映ってくるからなのでしょう。人生は旅にたとえられるものですが、ロードムービーのつくりは、他の種類の映画よりも、人生に近いんです。そのこころは、「何が大事で、何が大事じゃないかはわからない」。そして、「一寸先がどうなるかは、まるでわからない」ということですね。そしてアメリカ映画というのは実にロードムービーがよく似合う。
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 その目的として、記録レースに出るわけですが、ニュージーランドからはるばるよく来たね、ということでもてはやされます。一方で、彼のバイクは旧式で笑いものになるくらいなので、「こんなんじゃレースには出せない、死んだらどうするんだ」という主催者側の意見も出てくるんですが、彼は「死んだらそれも本望」という気概で、終始明るく振る舞います。こういう生き方には格好良さを感じます。「ここで死んでも悔いはない」という瞬間に出会うために、人は生きていくのかもしれません。ホプキンスのバイクが最後に横転し、彼の片足は熱のために大やけどを負うんですが、その瞬間の彼の満足な表情を見よ、ですね。
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 深い話ができなくて恐縮ですけれど(なにしろ映画評を書くモチベーションが大幅に下がってしまったのです)、とてもよい映画だったと思います。
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 さて、今回をもちまして当ブログは数ヶ月間ほどお休みいたします。どれくらいの長さになるかわかりませんが、短くとも涼しくなるまでは更新がないことと思われます(恵比寿マスカッツにビッグニュースがあればそのときは別です。恵比寿マスカッツ主演の映画ができたら即論評します。誰かつくれ)。映画以外の出来事、実際の世の中の出来事のほうに興味を奪われているのが今年に入ってからずっと続いていることで、今は劇映画自体をもうほとんど観ようとさえ思わなくなっているのです(リクエストをいただいて刺激をもらったわけですが、結局のところ、続けてもなあ、という感じになりました)。まあ、今回でやめるぞ、というほどの覚悟もないし、別に言い切る必要もないのですが、ともかくしばらくは戻ってこないのです。コメントいただけたら返事はしますが、映画の話をされてもノリが悪くなってしまうであろうことをご了承くださいませ。

というわけで、しばしのお別れ。
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